2020年2月3日

2020年2月3日

2020年2月3日(月) 

みんなで守ろう、サイバーセキュリティ

 内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター
 副センター長・内閣審議官   山内   智生

 
 
 皆さんの身の回りには、インターネット、すなわちサイバー空間を使っているサービスがたくさんあります。SNS、ゲームはもちろん、口座振込でも使いますし、病院や水道といった事業者も、皆さんにより良いサービスを提供するためにサイバー空間を使うことが当たり前になっています。
 
 では、これらのサービスが使えなくなったら皆さんの生活はどうなるでしょう。日常生活で使っているSNSが使えない、24時間できるはずの口座振込が使えないなどなど、生活が不便になることは間違いありません。それだけ、サイバー空間があってこそ皆さんの生活は成り立っていると言えるのではないでしょうか。

 政府が定めている「サイバーセキュリティ戦略」でも、このような状況を踏まえ、信頼できるサイバー空間が自律的・持続的に進化・発展することが重要と捉えており、あらゆる主体の業務やサービスが持続的に遂行される「任務保証」、業務やサービスに生じる不確かさを減らす「リスクマネジメント」、様々な主体の「参加・連携・協働」という3つの観点を大事にして官民の取組を推進することにしています。

 中でも、皆さんにも是非自らのこととして関心を持っていただきたいのは、「参加・連携・協働」です。今やサイバー空間での犯罪や事件は、場所や時間を問わず発生する現実の世界の犯罪や事件と同じように、あらゆるサービスでいつ起こってもおかしくありません。ですから、「それを守るのは誰かがやることだろう」「スーパーマンが来て助けてくれるに違いない」と思うのではなく、皆さんご自身が何らかの当事者としてできることはないかお考えいただくことがとても大切に思います。

 今、新型コロナウイルスが心配されますが、その基本的な対策は、インフルエンザと同じように、一人一人が咳エチケットや手洗い等をしっかり行うこととされています。このような一般的な衛生対策は、一人一人が日頃の習慣として衛生状態に気をつけ、周り皆で気をつけることがとても大切と言ってよいでしょう。もちろん、必要な場合は、各病院、専門機関などや国が対応、対策を講じることになります。

 サイバーセキュリティでも、こうした専門的な体制、あるいは国の体制を作り、さらに強化しようとしていますが、このような体制があることを念頭に置きつつも、私たち一人一人が、自分や周りを危険から守るべく自ら行動し、そして普段からどう助け合えるのかに関心を持っていただくことが重要と思います。

 サイバー空間は今後も発展を続け、それにより人類が抱えている社会的な課題まで解決することができるような社会(これを政府ではSociety5.0と呼んでいます。)が到来することが期待されています。これを支えるサイバー空間は、物理的な空間にある国境や組織の境目がなく、グローバルで垣根を超える存在であると言えるでしょう。サイバー空間に関係する全ての主体や個々人が国内外を問わず、様々な課題を自らのこととして考える必要があるように思います。そのためには、皆さん自身が参加するとともに、周りの方を助け、助け合う形で、サイバー空間の「衛生」状態を皆で良好に保つような「公衆衛生活動」が普及するよう意識していただきたいのです。
 
 サイバーセキュリティ月間は、皆さんにその重要性に気づいていただき、ご自身の第一歩を踏み出していただくための取組の一つです。今年も、一人でも多くの方々に、サイバーセキュリティに興味を持っていただくきっかけ、行動を起こしていただくきっかけとなることを願い、様々な取組を進めてまいります。
 

※記載内容は執筆者の知見を披露されているものであり、著作権は本人に帰属します。