2020年3月2日

2020年3月2日

2020年3月2日(月) 

サイバー空間の安全の確保

 警察庁
 サイバーセキュリティ・情報化審議官
 河原 淳平

 
   Windows95が発売された1995年は、「日本におけるインターネット元年」と言われ、それ以降、急速に国民の間にインターネットが浸透しましたが、近年はスマートフォンの普及など、驚異的なスピードでデジタル化が進んでいます。 
 このような中、警察においても、サイバー空間の安全の確保はますます重要な課題になっています。
 
   昨年は、9月にインターネットバンキングの不正送金事犯による被害が急増し、10月及び11月においても被害が多発しました。インターネットバンキングの不正送金事犯は、金融機関によるモニタリングの強化、ワンタイムパスワードなどの二要素認証の導入などの対策により、平成26年、27年をピークに発生件数、被害額とも年々減少傾向にありましたが、再び被害が増加している状況にあります。
 
 この要因とみられるのが、スマートフォンの普及に乗じた、スミッシングという手口です。スミッシングというのは、SMS(ショートメッセージサービス)とフィッシングを合わせた造語で、URLを記載したショートメッセージを送って偽サイトに誘導し、そのサイトでID、パスワード、クレジットカード情報等を入力させて盗み取るのが典型的な手口です。近年は、金融機関等が送金時に入力を求める、ワンタイムパスワードまで盗み取る例がみられ、これらの手口によって、不正送金事犯が急増したものとみられています。
皆様の中にも、お持ちのスマートフォンに、実在する金融機関や通信事業者名で、セキュリティの手続のためなどと称してURLを記載して、アクセスを求めるショートメッセージが来たことがある方がいるのではないでしょうか。こうしたメッセージからフィッシングの被害に遭うケースが報告されておりますので、記載されているURLに安易にアクセスしないようお願いします。インターネットバンキングにログインする際には、金融機関(銀行)の公式アプリ又はブックマークに登録した公式ウェブサイトからアクセスしていただければと思います。
 
   また、本年は、東京でオリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。この世界中の注目を集めるイベントでは、よりサイバー攻撃のインセンティブが高まると考えられ、実際に過去の大会では様々なサイバー攻撃が確認されています。このため、警察では、サイバー攻撃の発生を想定した関係機関との共同対処訓練、外国の捜査機関等との情報交換等を推進し、大会の安全・円滑な開催に向けた取組を推進しているところです。
 
   デジタル化により利便性が高まり、様々なモノ、情報などが簡単に入手できる反面、サイバー空間に犯罪の現場が広がってきています。我々警察は取締りや広報・啓発をしっかりと行ってまいりたいと考えておりますが、皆様ひとりひとりが、サイバーセキュリティ対策に更に取り組んでいただければ、より安全なサイバー空間を確保することができると思います。
 
   このサイバーセキュリティ月間を契機に、今一度、御自身のサイバーセキュリティ対策について見直してみていただければ幸いです。
 

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