2017年2月7日

2017年2月7日

2017年2月7日(火)

イスラエルの地で感じるサイバーセキュリティの未来

 Aniwo
 代表取締役 CEO 寺田 彼日

 
イスラエル最大のサイバーセキュリティカンファレンスで講演するネタニヤフ首相

 
 イスラエルにどんなイメージをお持ちでしょうか?
 「紛争地帯」「中東の砂漠の国」「宗教の聖地」etc…
 上記のようなイメージをお持ちの方が多いのではと推察します。
 
 しかし、実際のイスラエルは地中海に面した美しい都市テルアビブを中心に、世界最先端の技術を持つスタートアップを次々に輩出するハイテク起業国家です。例えば、皆さんのPCに入っているインテルCPUのマイクロアーキテクチャはイスラエルで開発されました。また、セキュリティの文脈では、イスラエル企業チェック・ポイント社が世界で初めてファイアウォールを開発しました。その他、USBメモリ、プチトマト、Facebookの自動タグ付け、自動車衝突防止システムのモービルアイなど身近な所にイスラエル発の技術が溢れています。
 
 

テルアビブのビーチと都心部の風景
 
 そんなイスラエルの地で、私は日本人の共同創業者とイスラエル人エンジニア共に、世界中の人々を笑顔にするイノベーションを生むために、スタートアップ企業と投資家及びマルチナショナル企業を繋ぐプラットフォーム事業を行っています。
 

 イスラエルで働く中で日々感じているのは、一般レベルでの危機意識の強さです。周辺国との緊張関係が続いている状況から、高校卒業後に男女共に兵役義務があり、常にサイバー攻撃の脅威があるという認識を持ち教育が為されていることが一因です。現在テクノロジー業界で聞かない日はないキーワード、AI、IoT、Fintech、AR/VR、ドローン、自動運転等の技術が進歩し生活に浸透していくことは、あらゆるものが常時インターネットに繋がるということを意味します。そうなると、サイバー攻撃が実生活に及ぼす影響力が高まり、命に関わるような脅威にまで発展する可能性が生じます。例えば、自動運転車がハッキングされると、乗客が重大な危機にさらされることは想像に難くありません。
 
 この先10~20年で起こる技術革新を見据えて、イスラエルではサイバーセキュリティ関連のスタートアップ企業が次々に生まれており、その数は600社以上に上ります。その背景にあるのは、国民の危機意識の高さと教育制度に裏付けられた技術力です。このようなイスラエルの現状から想像される未来は、サイバーセキュリティが人々の命を守るライフラインのような欠かせない存在になっていくというものではないでしょうか。
 
 今日の日本では、スタートアップ、起業がまだまだ一般的ではないため、大企業内での研究開発やセキュリティ人材の育成が重要になります。そういった状況下で、イスラエルの高い危機意識と課題解決の姿勢から学び、世界最高水準の技術力を誇るイスラエル企業と連携して、リテラシーとスキル、競争力を高めていく必要性を感じています。

 

※記載内容は執筆者の知見を披露されているものであり、著作権は本人に帰属します。