2024年サイバーセキュリティ月間の寄稿コラム

国立高専機構と共に、企業で活躍できる実践力の育成に取り組む

日本電気株式会社(NEC) サイバーセキュリティ戦略統括部
タレントマネジメントグループ
宇都田 賢一

1.この取組の経緯、概要を教えてください。

 NECでは2022年7月に国立高専機構様とサイバーセキュリティ分野における包括連携協定を締結し、実践力を有する人材の育成・輩出を目指した活動を行っております。具体的には、NECが持つ研修・教育教材を用いた実践的な講義の実施、先生方とNECの専門技術者との情報交換などによる最新動向の共有などを行っております。
https://jpn.nec.com/press/202207/20220722_01.html

2.取組の特徴、ユニークな点を教えてください。

 この活動では、社会実装教育により高度技術者を輩出し続けている高専の実績と、当社が有する最新のセキュリティの技術や知見を掛け合わせた産学共同の教育支援を行っています。特に注力しているのは以下の3つになりますが、いずれも高専機構における、企業で実際に活用されている教材や演習環境を用いた人材育成は初めての取り組みとなっています。

  1. ①教職員と専門技術者の情報交換
  2. ②サイバーセキュリティ演習環境の拡充
  3. ③体系的なセキュリティ知識習得のための教材提供
 さらに当社では、自ら発信できる技術者「エバンジェリスト」の育成を行っております。たとえば高専で行う出前授業は、エバンジェリストにとって必要な、自ら発信する能力を磨くための大変重要な機会となっています。
<参考>

3.難しい点、苦労しているポイントを教えてください。

 高専の学生さんは、すでに高い技術を有しておられますので、私たちが提供できる価値はなんだろうか、というのが、最初に考えたことでした。とはいえ悩むよりもまずやってみようということで、当社がもつ教材を持ち込んでみました。結果として、「学校で習う手法とは違った」、「こんなやり方があったのか」、などの反応があったのは、うれしかったですね。

4.実際に取組に参加された方の声

(NECサイバーセキュリティ戦略統括部タレントマネジメントグループ 伊藤 綾乃)
 私は高専に在籍されている女子学生向けイベントやキャリア相談会を行っております。皆さん技術に関する高い関心をお持ちで、将来やってみたい仕事像をよりクリアにしていきたいという熱意を持った方が多いと感じました。私自身の他の領域での業務経験を活かして、俯瞰的にサイバーセキュリティ人材としてのキャリアについてアドバイスできると考えています。この領域で働くことの魅力が伝わるように、これからも発信を続けていきたいと思います。

(NECサイバーセキュリティ戦略統括部リスクハンティング・システムグループ 中島 春香)
 私は高専で技術的なデモや講義、キャリアについてお話をしています。高専の皆さんとお話をしていて印象的だったのは、技術の追究にとどまらず、学んだスキルをいかに社会に還元するかを視野に入れて考えていらっしゃるところです。そのため、私も実際に今社会ではどのような攻撃が起きているのか、セキュリティ対策がどのようになされているのか、NECでペネトレーションテスト等を行っているからこそ見えていることを交えてお話をしています。

5.最後に、コラムを読んだ方にメッセージをお願いします。

 このコラムを読んでいただいた国立高専の学生さんへ。当社の取り組みは、全国の国立高専向けに提供しているものです。今後もさまざまな取り組みを企画していきますので、ぜひ、ご参加いただければ嬉しく思います。NECが提供する教材や環境がきっかけでサイバーセキュリティに興味を持ち育った学生さんたちが社会全体の安心安全を守るために活躍してくれることを期待しています。