2024年サイバーセキュリティ月間の寄稿コラム

2024年サイバーセキュリティ月間の寄稿コラム

内閣官房 内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)
副センター長 内閣審議官 中溝 和孝

 子どもからシニアまであらゆる世代がPC・スマートフォンを持ち、インターネットの便利さを享受する一方で、サイバー犯罪もまた、あらゆる人々の生活を脅かすものとなっています。例えば、フィッシングによる不正送金被害は、昨年過去最多となり、パソコンに偽の警告を出し、サポートセンターを装って金銭をだまし取るサポート詐欺の被害も増えています。

 サイバー空間を安全・安心に利用していただくためには、リスク(危険性)を「知る」、脅威から身を「守る」、情熱を持って対策を「続ける」ことが重要です。サイバーセキュリティと聞くと難しく思われるかもしれませんが、多くの脅威は基本的な対策で回避することができます。一人ひとりがサイバーセキュリティに関する意識・理解を深められるよう、政府では毎年2月1日から3月18日までを「サイバーセキュリティ月間」とし、「サイバーセキュリティは全員参加」をスローガンに、産学官民で連携した普及啓発活動に取り組んでいます。

 本月間では、近時増加傾向にあり身近に潜む脅威「フィッシング」、「サポート詐欺」について学べるわかりやすい動画コンテンツをNISCポータルサイト上に公開しています。手口の概要や対策を説明していますので、ぜひご家族やご友人、職場の方など周りの方々との話題としたり、一緒に楽しみながら学んでいただければと思います。

 企業・学校・病院などの組織においては、不正アクセス、ランサムウェアの被害が続いています。大企業のみならず中小企業もターゲットになっており、どんな組織においても、これら脅威への対策とともに、それらの取組みを支えるセキュリティ人材の確保、育成が急務といえます。

 今回のサイバーセキュリティ月間リレーコラムは、「サイバーセキュリティを支える人々~未来のセキュリティ人材を育てる」をテーマとし、サイバーセキュリティの現場で活躍している方々やサイバー人材育成に尽力している人々にスポットを当てています。セキュリティの仕事内容は多岐にわたるため、バグハンター、セキュリティエンジニア、研究者、警察官、弁護士、高等専門学校の先生など、多種多様な職業の方にご執筆いただく予定です。

 現場で活躍しているプロフェッショナルの方々には、普段の生活からではあまり目にすることのないサイバーセキュリティの業務内容、その魅力などを語っていただきます。多彩なキャリアパスについても紹介していますので、セキュリティの仕事に興味のある方、将来セキュリティ業界を目指してみたい学生の方にも、非常に参考になる内容かと思います。サイバー人材育成にご尽力されている方々からは、民間企業が地域や教育機関と連携して将来のセキュリティ人材を育てる、ユニークな取組をご紹介いただきます。

 サイバーセキュリティは一個人、一組織で達成できるものではなく、多くの方々の連携が大切になってきます。政府では、国内外の関係機関・団体等とも連携し、「全員参加」で取組を進め、サイバーセキュリティの確保に万全を期してまいりますので、今後とも、政府の取組に対する皆様の御理解と御協力をお願いします。

2024年2月1日