2024年サイバーセキュリティ月間の寄稿コラム

サイバーセキュリティと警察

愛知県警察 サイバー犯罪対策課
宮﨑 一憲

画像:愛知県警察サイバー犯罪対策課
マスコットキャラクター
サイバ課長とマホ巡査

1.お仕事の内容を教えてください。

 愛知県警察本部サイバー犯罪対策課対策係として、みなさんがサイバー犯罪被害に遭わないようにするために、中小企業などを訪問し社内の情報セキュリティについてアドバイスをしたり、大学生サイバーボランティアの方々とともに小学生にインターネットの安全な使い方を教えたりしています。

2.どのような経緯で現在のお仕事に関わることになったのか教えてください。

 愛知県警察には、サイバー人材を募集するため情報技術区分という採用枠があり、私はその枠で採用されました。採用後、比較的早い時期にデジタル・フォレンジック※を担当する係に配属され、サイバー犯罪捜査などの現場支援や押収したパソコン・携帯電話などの解析を担当していました。直近ではサイバー犯罪捜査ができる人材育成を担当する係に配属され、これまでの経験や知識を基にサイバー犯罪捜査手法の講義などをしていました。このようにサイバー犯罪捜査に関連する部署での勤務を多く経験し、現在に至っています。

※犯罪の立証のための電磁的記録の解析技術及びその手続

3.お仕事の魅力、やりがいはなんですか?

 サイバー犯罪に関わる警察の仕事には、サイバー犯罪を捜査する担当や、被害防止対策担当、スマートフォンなどの証拠品を解析する担当があります。それぞれの担当でサイバーセキュリティに関する様々な知識や技術が求められることから、常に最新の情報を身につけながら、サイバー犯罪に対処できることは大きな魅力です。また、担当した業務では、多くの証拠品を解析して犯罪の確たる痕跡を発見した時には達成感を感じますし、事業者と連携した対策では、サイバー犯罪に遭い悲しい思いをする方を一人でも減らすことができることにやりがいを感じています。

仕事の風景

4.お仕事をする中で難しい点を教えてください。

 サイバー犯罪は進化し続けており、次々と新たな手口が現れます。それに合わせて、悪用された情報技術を理解し、犯行手法を考え、サイバー空間に残された痕跡を現実空間の犯罪者につなげて捜査を進めながら、一方でそれと並行して、被害の拡大を防ぐためいち早く対策を進める必要があることに難しさを感じています。また、どの業種でも同じだと思いますが、人材育成には特に難しさを感じています。愛知県警察では、しっかりと人材育成プランが決められているのですが、私自身は、サイバー犯罪の捜査手法に関する教育訓練を担当していた時は、日々進化するサイバーセキュリティの分野を、基礎からわかりやすく伝えることに難しさを感じました。

5.最後に、コラムを読んだ方にメッセージをお願いします。

 サイバー犯罪捜査は、サイバー空間の安心安全を守るために欠かせない重要な仕事です。
 サイバー犯罪の複雑性や匿名性から捜査が困難なこともありますが、犯人を特定するため、その問題を解き明かす過程は非常にやりがいがあり、解決した時の達成感は何ものにもかえがたいものです。
 サイバーセキュリティとサイバー犯罪捜査の両方に興味のある方は、ぜひ警察官を目指していただけたらと思います。
 また、サイバー犯罪被害を防ぐためには、警察の活動だけでなく、自治体や事業者、個人一人ひとりの行動が大切です。このサイバーセキュリティ月間を機に、意識を高めていただき、サイバーセキュリティ対策を一つでも多く実行していただきますようお願いします。