寄稿コラム
寄稿コラム
(教育・研究機関)
(政策立案・研究開発)
1. どんな仕事をしていますか?
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)という国の研究機関で、サイバー攻撃から日本を守るため、サイバーセキュリティに関する研究開発をしています。サイバー攻撃に関するさまざまなデータを集めて分析したり、分かりやすく見せる技術の開発や、データを安全に活用するための暗号技術の研究をしています。また、サイバー攻撃を受けてしまった時にどのように対応したらよいのかを学べる演習や若手セキュリティ人材育成も行っています。
2. 仕事をしていて大変なところ、難しいところは?
サイバー攻撃の手口はどんどん変化していくので、常に新しい情報をキャッチすることが大切です。NICTに対して期待が高まる中、サイバー攻撃のデータを大規模に集めて分析するシステムを作り、観測レポートを出すなど、情報発信に努めています。また、将来、量子コンピュータのような新しいしくみのコンピュータが実現すると、今の私たちの社会を守っている暗号技術が解読されてしまうので、これに備えて新たな暗号の仕組みを考えたり、国際的な動きを見ながら実際に使えるように準備をすることも大切です。
3. どんなことを考えながら仕事をしていますか?
「日本のサイバーセキュリティ対応能力を強化したい」
日本がサイバーセキュリティに対して強くなるためには、サイバー攻撃に関連したデータを大量に集め、データを分析して正しく対応できる人を育てることが重要です。このため、NICTではこれまで集めたデータやサイバー攻撃に対応できる人を育てるための演習システムを民間企業や教育機関に使ってもらったり、一緒にデータ分析を行っていく「サイバーセキュリティネクサス」という組織を今年度立ち上げて活動を開始しました。この活動を多くのみなさんと一緒に取り組んでいきたいと考えています。
4. 安全・安心のためにこれだけは絶対にやってほしいことは?
「サイバーセキュリティに関心をもとう」
サイバー攻撃は、国の機関や大きな会社だけが狙われるのではありません。みなさんの身近にある、ネットにつながるあらゆる機器がサイバー攻撃に悪用され、被害を大きくしてしまうこともあります。簡単なID・パスワードを使っていませんか。セキュリティアップデートをきちんと行っていますか。ニュースなどで私たちの社会生活に大きな影響を与えるサイバー攻撃が報道されることも多くなりました。そのようなニュースを見たら、どうしてそのような攻撃が起きてしまったのか、どうしたら防げるのか、自分が被害にあわないようにするにはどうしたらいいのか、などを考える機会にしてみてはいかがでしょう。
国立研究開発法人情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所
盛合 志帆