寄稿コラム

TOP 2022年サイバーセキュリティ月間 寄稿コラム 名古屋工業大学 社会工学専攻 青山 友美

寄稿コラム


(教育・研究機関)
まもる
(運用・実行・法執行)

1. どんな仕事をしていますか?

 大学で、安全が重要な工場や、わたしたちの生活にかかせない水や電気を配るシステム(仕組み)のセキュリティを研究しています。例えば、工場で働く、インターネットにつながったロボットが増えています。わたしたちの代わりに、ロボットが危険な場所での作業や、人間には大変な作業をしてくれるのは、とても便利なことです。でも、そんな仕事を任されているロボットがインターネットからサイバー攻撃にあってしまうと、思いもよらない動作をして、隣で作業をする人間がけがをするかもしれません。また、水や電気をつくって配るしくみがサイバー攻撃にあって、たくさんの地域で同時に電気や水が止まってしまったら、社会の色々な活動も止まってしまいます。サイバー攻撃が起きた時の私たちの安全や生活への影響を小さくする方法と、攻撃から早く復旧する方法を考えるのが私の仕事です。

2. 仕事をしていて大変なところ、難しいところは?

 セキュリティは、想像力の必要な仕事です。「この技術がもしサイバー攻撃に使われたら、何が起きるだろう?悪い人だったら、何をするだろう?」と、「最悪のできごと」が何かをじっくり考える必要があります。でも今、様々な専門分野で、インターネットを中心とした技術の発展のスピードが加速しています。サイバー攻撃で起きる「最悪のできごと」をじっくり考える前に世の中の便利なつながりが増えてしまっているのが心配です。

3. どんなことを考えながら仕事をしていますか?

「セキュリティはみんなで考えてつくるもの」
 セキュリティは、情報技術を利用するすべての人の責任です。私たちが常にセキュリティを意識して、適切な行動を取れば、技術がつながった仕組み全体のセキュリティを強めます。または逆に、私たちが「セキュリティは他人事」と思って不安全な行動を取れば、仕組み全体のセキュリティが弱まり、危険です。大学では、写真のように工場で使っている機器と同じ機器を使った実験や教育をしています。これも、なるべく多くの人にサイバー攻撃で何が起きるのか、どんな対応が必要なのかを理解してもらうための工夫です。

 名古屋工業大学 社会工学専攻

4. 安全・安心のためにこれだけは絶対にやってほしいことは?

「おかしいな、変だな、と思ったらすぐに相談しよう」
 サイバー攻撃の手法には、メールで悪質なファイルを送る方法や、身近なスマートフォンをねらった攻撃もあります。もちろん、こういった攻撃には常に注意が必要です。でも、あわてて知らない人から送られたファイルを開いてしまったり、うっかり信頼できないアプリをダウンロードしてしまうなど、間違いは誰にでもおきるものです。間違いはつい隠したくなるものですが、管理する人が早く気がつけば、攻撃が悪化する前に対応できる可能性が高くなります。何か変だと感じたら、利用している機器を管理している人にすぐに相談しましょう。また、管理する側は、間違いを責めないこと、相談したくなるような日頃の関係を作ることが大切です。

名古屋工業大学 社会工学専攻
青山 友美