セキュリティ対策は、自社だけでなく取引先も守る第一歩です!

執筆者_経済産業省池田様

経済産業省商務情報政策局サイバーセキュリティ課
課長補佐 池田 佳高

  • 実施している中小企業向けの取組について教えてください。

    経済産業省商務情報政策局サイバーセキュリティ課では、産業界の安心と安全を守るため、企業のサイバーセキュリティ対策を推進するための施策の立案や、周知・啓発を行っています。その中で私は、産業界の中でも特に重要である中小企業へのサイバーセキュリティ対策促進のための普及・啓発を行っています。

  • 取組の特徴、ユニークな点を教えてください。

    サイバーセキュリティに対する中小企業の意識として、過去の実態調査から、「必要性を感じていない」「どこからどう始めたら良いか分からない」「コストをかけられない」と考えている層が相当数いることが明らかとなっています。このような層の中小企業に対し、サイバーセキュリティ対策の必要性や、対策によるメリット、そして国の支援策について普及・啓発を行っています。具体的には、地域の民間団体や行政機関によるサイバーセキュリティの普及・啓発活動を支援する事業(地域SECUNITY支援事業)や、中小企業向けの支援策である「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の制度運用などを行っています。

  • どんな方に利用してほしいかを教えてください。

    「サイバーセキュリティお助け隊サービス」は、少ないコスト(例:月額1万円以内)で「24時間監視」や「緊急時の駆付け支援」などのサービスをパッケージで受けられます。中小企業の皆さまに利用していただけるよう、経済産業省が2年間の実証を経て制度設計した、安心・安全のサービスです。サイバーセキュリティ対策の必要性は理解しているものの「どこからどう始めたら良いか分からない」「コストをかけられない」と考えている全ての中小企業に導入していただきたいサービスです。

    実際にお助け隊サービスを利用された企業からは、次のような感想をいただいています。


    従業員数26名のA社さん

    以前、リモートワーク中の営業社員のパソコンがウイルス感染したことがきっかけで、お助け隊サービスの利用を開始しました。お助け隊サービスの導入により、端末から不正サイトへのアクセスをブロックし、ウイルスに感染した時は自動でネットワーク隔離が行えるようになり、テレワークでも社員が安心して業務ができるようになりました。

    また、お助け隊サービスでは、端末ごとに不正アクセスのブロック数のレポートがもらえるので、そのレポートを社員全員で見られるようにしたことで、社員のサイバーセキュリティ意識を高めると同時に、万が一、被害が発生した際の原因究明に役立つのもいいなと思っています。

  • その他、今後の展望などがあればお願いします。

    この度、中小企業の皆さまにサイバーセキュリティ対策について理解を深めていただけるよう、サイバーセキュリティ対策の必要性と、サイバーセキュリティお助け隊サービスを紹介するリーフレットを作成しました。また、ホームページのリニューアルを行い、誰のための制度なのかを分かりやすく整理した上、各制度の説明内容も見直しています。今後も様々なコンテンツを作成し、サイバーセキュリティ対策の必要性や経済産業省の支援策を分かりやすく訴えていきたいです。

    リーフレット画像

    経済産業省「サイバーセキュリティ政策」ホームページ

  • 最後に、コラムを読んだ方にメッセージをお願いします。

    近年、サイバー攻撃の脅威が増加しており、その中でも、特に中小企業は狙われています。また、中小企業がサイバー攻撃を受けたことにより、その取引先企業にまで影響を及ぼす「サイバードミノ」も起きています。サイバー攻撃は、自分には関係ないと思われがちですが、決してそのようなことはありません。誰もがその脅威にさらされています。

    中小企業の経営者の皆さまへ。皆さまの対策が、自社や従業員だけでなく取引先も守る第一歩となります。ぜひ、サイバーセキュリティに正しい理解を持ち、必要な対策を行いましょう。