知らない土地の一人旅に不安はありませんか

一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター
業務統括部長 渡邊 泰司
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実施しているファミリー層向けの取組について教えてください。
日本サイバー犯罪対策センター(JC3)は、サイバー犯罪等の被害の低減を目指して活動している団体です。サイバー犯罪、特に金銭を狙った詐欺の犯罪は後を絶ちません。皆さんが受け取るメールやSMS(ショートメッセージ)のうち、官公庁や銀行、カード会社、物流会社などを騙って利用の停止などの不安を煽るものはありませんか。それは、フィッシングサイトと呼ばれる偽サイトに誘導し、皆さんのIDやパスワードなどを窃取し金銭を騙し取る手口かもしれません。この被害は甚大で企業の規模や個人の別を問いません。この被害を低減させるため、JC3の会員企業や都道府県警察のサイバー防犯ボランティアなどの協力を得て、様々な情報を収集・共有するとともに、フィッシングサイトを閉鎖(テイクダウン)するための通報を行うフィッシングサイト撲滅チャレンジマラソンを開催しています。
URL: https://www.jc3.or.jp/news/2024/20241226-604.html
この他にも、ご自身の使っているスマートフォンが気付かないうちにフィッシングのきっかけとなるSMSを送っていることや、広告から誘導されパソコンがウイルスに感染したなどの偽の警告を表示し、修理目的で金銭をだまし取るサポート詐欺の手口などをホームページで紹介しています。騙す手口を先に知っておけば、詐欺であることに気付きやすくなりますので、是非一度ご覧ください。
URL:あなたのスマートフォンが犯罪のインフラに
https://www.jc3.or.jp/threats/examples/article-592.html
サポート詐欺の電話番号に電話をかけてみた
https://www.jc3.or.jp/threats/examples/article-570.html
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取組の特徴、ユニークな点を教えてください。
フィッシングサイト撲滅チャレンジマラソンは、JC3が収集したフィッシングサイトの情報を基に、サイトを閉鎖するための通報を皆さんにしていただいています。通報を基にサイトが閉鎖されることで被害の低減や社会に貢献している実感を得られます。
また、「サポート詐欺の電話番号に電話をかけてみた」では、実際のサポート詐欺の犯罪者が運営している偽サポートセンターに電話を掛けた際の会話内容を公表しています。JC3に集まるのは、今まさに起きているサイバー犯罪に関する情報ですので、それを知ることで最も有効な予防活動が実現できます。
どんな方に利用してほしいかを教えてください。
「あなたのスマートフォンが犯罪のインフラに」「サポート詐欺の電話番号に電話をかけてみた」は、スマートフォンやパソコンを使っている方を対象に、ご家庭での会話の1つとして、学校や職場における研修などでもご利用いただきたいと思います。また、フィッシング対策は自社のブランド価値を守るための1つの対策です。企業の方にもフィッシングサイト撲滅チャレンジマラソンにご参加いただきたいと思います。
最後に、コラムを読んだ方にメッセージをお願いします。
インターネットで買い物をする、ウェブを検索する、地図で道案内するなどのサービスを利用する際、皆さんは海外とやりとりしていることを認識していますか。日本語のサイトでもあってもサーバーは海外の場合もあります。SNSも同様です。しかも、メールやSNSなどでは不特定多数の方が話しかけてきます。
インターネットは自由に「旅行」しやすい環境ですが、犯罪者も動きやすいのです。しかも皆さんは個々に出歩きます。このような環境で、安全に安心してインターネットを利用するためには、少しの時間と費用が必要です。犯罪の手口を知っておくこと、OSやアプリを常にアップデートすること、ウイルス対策や詐欺対策のアプリを導入することで多くの場合被害を防げるでしょう。お子様の場合は有害なサイトへのアクセスや利用時間の制限を設けるなども必要かもしれません。また、何か怪しいなと思った場合は、身近な詳しい人、警察や国民生活センターなどに相談しましょう。
一度、周りの方とお互いの状況を話し合い、日頃の利用方法を見直してください。